太子食品工業は1940年(昭和15年)、大豆との関わりの歴史が古い青森県南部地方に創業。納豆が大好きな人々が暮らすこの地で、創業者の工藤榮次郎が納豆の製造販売を始めてから、70年近くの時が経ちました。
美味しくて、健康に良くて、みんなが喜ぶ製品を、という思いは今も変わりません。太子食品工業の歴史はそうした思いの中での、研究と開発の歴史でもあります。創業から六年後、教職を長く続けていた榮次郎の息子・一男が当時、教頭であったにもかかわらず、家業に参加することを決意しました。「日本一の納豆を作りたい」それが一男の思いでした。
一男はそれまで経験と勘に頼っていた製造から、科学的根拠に基づいた納豆づくりに挑戦しました。その一つには、盛岡高等農林(現岩手大農学部)の松村博士によって研究された、納豆菌をコントロールする安定した近代的製造方法の導入があります。当時の太子納豆には「松村博士方式」というラベルが付いていました。以後、自社内での研究にも取り組み、現在の弊社研究所の元になっています。
高度経済成長期には食品業界も大量生産、大量販売の時代が訪れます。各メーカーが低コストでの大量生産に工夫を凝らした時代です。豆腐、納豆業界も例外ではありませんでした。しかし、私たち太子食品工業は、大量生産を目指しながらも昔ながらの製法と風味にこだわり続けました。それを「タイシらしさ」として妥協せず、時にはコストをも省みず、より良い製品を求め続けました。
伝統を重んじ、材料にこだわる。みちのく南部で培われてきた精神が、こうしたところでも発揮されたといえます。自社研究所で開発、発見された主な技術を紹介します。まず納豆製造においては、発酵が終わった納豆を冷蔵する「熟成」をいち早く始めました。製造工程上、手間が増えますが、美味しい納豆のためには当然と考えたのです。
今では業界の常識となっている工程ですが、私たちが先駆けでした。また、発酵室をコンピューターで集中制御したり、工場を立体的にライン化するなどの近代化も、美味しく安心安全な製品を作るうえで早くから導入しました。豆腐においても、添加物を使わずにどうしたらよいかを念頭に研究を続けてきました。大豆を煮た際に出る泡に対しても消泡剤を使っておりませんし、漂白殺菌剤、品質保持剤等も同様です。もちろん、にがりは昔から天然のものを使用しています。
それぞれ研究と工夫の積み重ねで克服してきたのです。中でも業界に画期的な革新をもたらしたのは、低温寄せ製法です。無添加豆腐を高温のまま急いで寄せると見た目も食感も損なわれてしまいます。そこで私たちは手間を惜しまず、低温でじっくりと一丁ずつ寄せて仕上げる方法を確立しました。ここで誕生したのが「一丁寄せ」シリーズで当社のヒット商品になりました。今では低温寄せ製法も一般的になりましたが、やはり太子食品工業が最初でした。
伝統を重んじてきた私たちがよりこだわってきたのは、自然です。大豆を自然の恵みとして大切にしてきたみちのく南部の人たちの思いそのものといえます。研究を重ねてきた結果、自然を見つめ直すことに行き着いたのです。そしてそれが安心安全な製品の根幹であると。
私たちは1997年(平成9年)1月、食品メーカーとして日本で初めて遺伝子組み換え大豆不使用宣言をし、商品パッケージへの表示を始めました。同時に種子や農場、生産者を選定する段階から遺伝子組み換え大豆の混入を防ぐ、IPハンドリングシステムを確立。
有機原料への取り組みもタイシらしさの一つです。農場を選定し契約栽培するとともに、各工場は有機農産物加工食品のJAS認定工場になっています。またそれぞれ、水や空気にこだわるため、国立・国定公園に隣接して立地されています。中でも日光工場は業界初のHACCP対応の工場として稼動。より徹底した衛生管理のもとで製造し、弊社の商品が無添加で風味を損なう高温殺菌・強制過熱を行っていないにもかかわらず日持ちする理由がここにあるのです。
自然を大切にする意味ではもちろん、環境への配慮も重視しています。日光工場はオゾン対策、浄化システムなどが評価され、各種表彰も受けています。このほかにも、稲わら菌を使った納豆の製造、もやしが呼吸できるスーパーフレッシュ包装の採用など自然の恵みを生かす数々の取り組みを続けてきました。栄養価が高いとされる北海道産大豆(北の大豆)や緑大豆の生産にも力を入れています。
最近では、大豆本来の風味、旨みを生かした豆乳のナチュラル・スイート製法の確立により、要冷蔵の新鮮な無調整豆乳を提供。大豆固形分12%という豆乳では最高レベルの濃厚さを実現し、にがり付で家庭でも豆腐作りが簡単とヒット商品になりました。
タイシの革新的な取り組み・技術
●納豆の冷蔵熟成
●無添加豆腐の低温寄せ製法
●遺伝子組み換え不使用宣言及び商品への表示
●遺伝子組み換え大豆混入を防ぐ自社管理システムの確立
●HACCP対応工場の建設、稼動
●豆乳のナチュラル・スイート製法
●北の大豆、緑大豆の栽培、普及
タイシが開発した業界初、ヒット商品
| 1973年 | ミニサイズ豆腐 |
| 1974年 | タレ付昆布納豆 |
| 1977年 | ミニカップ納豆 |
| 1978年 | 味付油揚げ・おいなりくん |
| 1979年 | 豆乳ヨーグルト |
| 1990年 | 臭いの少ない小粒納豆・サラダのサ |
| 1992年 | 一丁寄せ豆腐 |
| 1995年 | カルシウム豆腐・納豆 |
| 1996年 | こんにゃくドリンク・オリゴ2400 |
| 1997年 | 特定保健用食品・カルシウムとうふ |
| 1998年 | イソフラボンリッチ・北の大豆 |
| 2000年 | 国産豆乳100%(にがり付) |
| 2001年 | 抗酸化機能性商品 |
※現在は製造されていない商品もあります。